震災編

プロローグ 喧騒の幸せ

このコンテンツは架空の人物・場所を想定し、LAST GEAR監修のもと、震災・災害・事故等の非常時における「日常からの対策」を提案する物語です。

20XX年〇〇月〇〇日 (火曜日)

午後12時20分発生

場所:都市圏主要駅周辺地下商用区域
   及び 地下鉄数ラインの主要駅

 

男性35歳 タカオ
女性 妻32歳 かなえ
男児 8歳 たこう

 

 

『ほらほら 走ったらダメだよ』と たこうに伝える。
子供は元気な方が良いが、こういった商用施設では迷子になったり、何よりも他の方にぶつかったりして迷惑をかけてはいけないので目が離せない。
腕の時計に目を移すと時間は正午くらいを迎えようとしている。
昼時の休日、それは混むよなぁ。。。

 

妻のかなえに目を離さないように伝えようとしたが、妻も久々のショッピングに浮かれて華やかなショーウインドーに目だけでなく心まで奪われたかのように、自分のことも子供のこともまるで見ていない。

 

『ねえ、たこう、いつもこんな風に出かけるとはしゃいで走り回るの??』

 

「そうよ、いつもこうなのよ、男の子は大変よー。あなたは仕事でそんな苦労もわからない から、、いいけど、、、普段からね、、、、、」と愚痴り始めた。

 

 

こうなると分が悪い、さっさと子供の相手をしよう、と自分に言い聞かせた。

 

何気ない、こんなことが幸せと言えるのかもしれない。
なぜかそう思えた。

 

行く先の確認で施設案内板に目を移し
『ちょっと ママも たこうもこっち来て!
パパが場所を調べているから 動かないで!』
と苦笑しながら喧騒の中にも声が届くように、少し声のトーンを上げ気味で叫んだ。

 

2人とも気づかずに、それぞれ違う方向見て止まってくれない。

 

もう、子供が2人いるみたいだ。とイライラを抑えながら落ち着いて案内板を見直す。さっさと俺が位置関係を把握して2人の方に戻らないとと思い、今日行くはずのショップリストと場所をスマートフォンを取り出し、それが記してあるメモを探した。

 

 

ん??!! 地下鉄だろうか?

 

なぜに普段は気づかなかったのだろう?
確かに低く、それほど派手ではないが ゴォー とした音が聞こえる。

 

なぜか、目を落とした行き先のショップリストの内容が一切読めないほど胸がドキドキした。